遊びから学びへ12 [その他]
学習の対象
1.数と計算
2.量と測定
3.図形
4.数量関係
これら4つの中核をなしているのが数と計算です。
物を数えたり勘定したりすることができる為には、
数の概念ができなければなりません。
数の概念を養うには、物の集まりを直観させたり数えさせることが
大切で、算数の時間に第一に教えられることですね。
ぜひ、養っていかなければならない大切な考え方
★順序正しく考えさせよう
答えが9になる足し算の問題をできるだけ書いてみよう。
たいていは、子供がはじめは思いついたものから書いていきます。
1+8 2+7 3+6 4+5
5+5 6+3 7+2 8+1 と
作っていったらよい事に気が付きます。
この考えが身につくと、こんど答えが8になる足し算を全部書きなさいと
言うと、もう思いついたものから書かなくなるでしょう。
★対応の考えを育てよう
集合とか要素とかいう言葉は、昔は大学の数学で教えていたのですが
今は、小学校でも高学年で教えます。
程度を高くしたのではなく、小学生でもわかることで
算数の考え方の基本になる大切なことだからです。
★逆に考えてみることも必要
ピアジェという有名な心理学者がいます。
幼児の数の概念や思考の発達、論理的思考とはどんなものか
などについて、貴重な研究論文が出されています。
その論理的思考に関する論文のなかで、逆思考こそ論理的思考の
重要なものだと述べています。
逆思考というのは、順思考の反対の考えで、出発点から順順に
考えていって結論を出すのではなく、結果から出発して、
そうする前はこうでなければならないと、反対に考えていくのです。
「ある数に5を足すと15になる。ある数はいくつ?」
5を足して15になるのだから、足さない前は、15から5を引けば
わかるはずだと考える考え方です。
逆思考しなければならない問題は、一般は順思考だけで解ける問題より
子供にとって困難です。
★知っていることと関係づけて考えよう
よく「考えなさい。考えなさい」と言います。
算数の勉強では、考えない勉強なんてありませんから
「考えよ。考えよ」と言うのは当然です。
ところが、子供側にとっては、どう考えていいのかわからない。
考えようがないから、ただ足してみたり引いてみたりしている。
まったく筋道なんて通しようがないから、ただ手探りで
数をいじっているにすぎないことがあります。
そこで大切なことは、そのわからない時にはどうしたらよいかという
「考え方」を教え、身につけさせてやることが大切になります。
さんすう、算数の指導というのは、毎時間、毎時間が
この考え方を養うことの連続だとも考えられます。
★具体的に考えさせよう
さんすう、算数、数学という学問の特徴のひとつに、
抽象性というものがあります。
一年生のころは数字も抽象的なものです。
「だんだんに抽象的に考えることができるようになる力」を
養う学問だとも言えます。
このことは、逆に言えば、抽象的なわからない問題に出会ったら
「それを具体化して考えるとわかる」ということなのです。
問題を具体化して考えるということも、算数の学習では
大変大切です。
具体化するにはどんなふうにすればよいか、その手法や技術が
身についていないと「具体的に考えよ」と言われても
どうすればよいのか考えることができません。
具体化するとは、こういうふうにすることであるということを教え、
それが実際にできるようにしておいてやらねばなりません。
具体的に考える一番目の出発は
①実際にやってみること
②具体物を代用にして操作すること
③〇などを書いて考えること
➃線分図、その他の図に書いて考えることです。
(問題によっては、面積図・ベン図などがわかりやすいことがあります)
⑤問題によっては、表やグラフ、ときには問題の文章を
式に書くことも、具体化することになります。
個数を〇であらわさないで、
として表現するのですから
大変な飛躍になります。
はじめは見ることに、そして簡単なものはかけるように、
慣れさせていくことが大切です。
図がかけると、関係が視覚化されて、やさしくなるのです。
数学者デカルトの言った言葉に「困難を分割せよ」というのがあります。
まことに味わいの深い言葉ですが、その困難を分割することを
知らないと、出来るところから手をつけて考えを進めていくことができません。
算数が嫌いな子供というのは、困難な問題にあたると
全然考えようとしません。
困難をほぐす基本的な考え方が身についていないからです。
同じものを取り去って考えるというのも、その困難をほぐす
ひとつの考え方なのです。
「数学の本質はその自由性にある」
カントールという数学者の言った言葉です。
絵の具でいえば、基本になる色でその混ぜ方によって
自分の色が出せるわけです。
その基本になる色を持たないと自由な色がだせないと同様に
基本的な考えが身についていないと、自分独自の考えも
身につかないものなのです。
基本的な考え方から独自の考え方へ。
次回の図形学習指導勉強会「第56講」は2024年9月15日(日曜日)です。