初秋の高月
渡岸寺観音堂(向源寺)
お堂に安置される十一面観音は、
日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも最も美しいとされる日本彫刻史上の最高傑作といわれ、
祈りの仏にふさわしい、慈愛に満ちたお姿の観音さまです。
日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも最も美しいとされる日本彫刻史上の最高傑作といわれ、
祈りの仏にふさわしい、慈愛に満ちたお姿の観音さまです。
ガラスケース越しではなく、近くまで寄って拝観することができる。
さらに真後ろにも回れる。仏像の後ろに回れる事はなかなか出来ない。
官能的である。均整のとれた体躯、胸部や大腿部の豊かな肉取り、腰の捻り具合。
バックの細いウエストラインが特に美しい。
檜の一本造で像高195㎝、平安時代の作である。
白洲正子は「近江で一番美しい仏像」と感銘している。
―井上靖著「星と祭」より―
「架山は初め黒檀か何かで作られた観音さまではないかと思った。
肌は黒々とした光沢をもっているように見えた。
肌は黒々とした光沢をもっているように見えた。
そしてまた、仏像というより古代エジプトの女帝でも取り扱った近代彫刻ででもあるように見えた。
もちろんこうしたことは、最初眼を当てた時の印象である。
仏像といった抹香臭い感じは微塵もなく、新しい感覚で処理された近代彫刻がそこに置かれてあるような
奇妙な思いに打たれたのである。
架山はこれまでに奈良の寺で、幾つかの観音さまなるものの像にお目にかかっているが,それらから受ける
ものと、いま眼の前に立っている長身の十一両観音から受けるものとは、どこか違っていると思った。
一体どこが違っているのか、すぐには判らなかったが、やがて、
『宝冠ですな、これは。みごとな宝冠ですな。』 思わずそんな言葉が、架山の口から飛び出した。
丈高い十一個の仏面を頭に戴いているところは、まさに宝冠でも戴いているように見える。
いずれの仏画も高々と植えつけられてあり、大きな冠を形成している。」
向源寺の十一面観音は、日本に7体ある十一面観音と比べて大きく3つの特徴がある。
1.面の数、配置場所に特徴がある
向源寺の十一面観音は、頭上にぐるりと六面の小仏面を巡らせて、
両耳の後ろと後頭部に三面、頂上仏と本面を合わせて十一面となっている。
2.頂上仏が菩薩面である
頂上仏は他より二倍近く大きく、髻を高く結い、五智如来を配した菩薩像になっている。
3.大きな耳飾りをつけている
鼓胴式耳璫(じとう)という太鼓の胴のような形の耳飾りを付けている。
後方の「大笑面」の拡大写真
「暴悪大笑面」、不気味にも見えるような複雑な顔。
悪や煩悩への怒りが極まって、それらを大口をあけて笑い滅する顔と云われている。